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Rediscover project
CACLのRediscover projectは、従来なら廃棄される可能性のあった規格外となった伝統⼯芸品や震災でうまれた陶磁器⽚の廃材に新たな価値を⾒出し、九⾕焼や輪島塗などの異なる⼯芸を融合させることで、新しい表現を追求していきます。
2024/10/5〜 11/3、Mikke Galleryで開催のアート展覧会「迷宮への介入」に出展
10/05/2024 → 11/03/2024
Mikke Gallery(東京都新宿区四谷1丁目4 四谷駅前ビル 5F)
2024年10月5日(土)から11月3日(日)まで、東京都新宿区のMikke Galleryで開催されているアート展「迷宮への介入」に、Rediscoverプロジェクトのアート作品を出展しています。
展覧会名:迷宮への介⼊
会期:2024年10月5日(土)〜11月3日(日)
アーティスト:池⽥杏莉 、安井鷹之介、Rediscover project、YAO Qingmei
キュレーター:沓名美和
開場時間:11:00-19:00
キュレーターの沓名美和氏による展覧会「迷宮への介入」は、現実に起こった不条理な社会問題や自然災害、戦争などを題材にしたメッセージ性の強い作品が各空間を作り上げています。どれも同じ地球で起こっている出来事ですが、多くの人たちはそれらに接触することなく変わらぬ日常を生きています。その見えにくい社会の空気感に介入できる本展は、普段意識しない現実を見つめ、自らが何を感じ何を見つけるのかを問いかけられる場ともなっています。
今回展示するRediscoverのアート作品は、能登半島地震がきっかけで誕生したもの。破損した九谷焼の白磁(※)を元通りに修復するのではなく、偶然にできた断面も作品の一部として生かしながら、輪島塗の職人が金継ぎや蒔絵の技法を組み合わせ、新たなアート作品へと昇華させました。角度によって様々な色や表情を見せ、まるでひとつの生命が宿っているかのように感じられる作品です。
※九谷焼の白磁:九谷焼は「九谷五彩」と呼ばれる赤・青・黄・紫・紺青を基調とした華やかな上絵付けが特徴であるが、絵付前に破損したので白磁となっている
ぜひ、各ブースで足を止め、作品が問いかけるメッセージに思索をめぐらせながら、ゆっくりと鑑賞をお楽しみください。
「迷宮への介⼊」
『喪失はある⽇、⾜⾳もなくやってくる。
幼い頃から形成された価値観やイデオロギー、変わることなどないと思っていた⽇常⽣活や⾒慣れた⾵景が、唐突に齎される出来事によって無惨に変形させられる不条理を私たちは避けることができない。
ここに展⽰されるのは、現実に起こった不条理と喪失の記憶だ。育ってきた環境も⽂化も背景も異なる 3⼈のアーティストの作品が、ひとつの空間の中で互いに影響し重なり合う様⼦に⽬を凝らしてほしい。
迷宮は不条理に翻弄される⼈々の姿を彫刻や絵画で表現するアーティスト、安井鷹之介の作品から始まる。そこに池⽥杏莉の廃墟的空間が広がっていく。祖⺟の遺品や思い出の品のテクスチャーを収集し、実際のものを覆ってしまう作品はまるで記憶の標本のように切実だ。最後の空間にあるのは Yao qingmeiの映像作品だ。元解放軍⽂化団員の⼥性ソプラノ歌⼿が愛国歌を歌う映像が流れるが、その彼⼥の歌はどれだけ歌っても途中で必ず遮断され 最初に戻ってしまう。会場をよくみてみると能登半島地震の被災地で割れた九⾕焼や輪島塗、珠洲焼などを収集し企画するRediscover project から⼀部作品が紹介されている。
彼らが⾒つめる不条理や喪失、後悔は果たして私たちにとってメディアの向こう側のドラマだろうか。ウクライナの戦争をニュースで⾒ながら、温かな家の中でお茶を飲むような?そのようなものではなく、どうか、この迷宮を歩いてみてほしい。異なる物語が交差するとき、誰もがもっている不条理と喪失の記憶の扉に気がつくはずだから。』
Mikke Gallery HPより引用
終わりに
沓名美和氏が主催する大変意義深い展覧会に、Rediscover projectが石川の地で生まれた作品を携え出展できることを光栄に思います。
Rediscover アート作品は、2024年元日に発生した能登半島地震により破損した大量の陶磁器片や、生産の過程で規格外となった九谷焼や珠洲焼といった石川県の工芸品がベースになっています。本来なら廃棄される運命にあったこれらの素材は本当に価値がないのでしょうか。同じ石川県の工芸品でありながら南北で異なる文化や歴史をもっていると交わることはできないのでしょうか。今後もアート表現や作品展示を通して、これまでにない価値の追求、これまであったけど気づかなかった価値の再発見に繋がるような機会提供を目指していきます。